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重症筋無力症

筋肉が動かなくなる病気

重症筋無力症は筋肉が極度に衰弱してしまう難病です。
症状は、最初まぶたや首、顔の筋肉が垂れ下がるようになることです。
上から始まり、徐々に全身に及びます。
眼球を動かす動眼神経が麻痺して、左右の眼の動きに違いが生じ、右目と左目で見ているものが違うようになってしまします。
複視といってものが2つに見えるようになります。
2つに見えるというと「2重に見える」というように感じますが、症状が進んでくると、そんな生易しいものではすみません。前から一台自動車が走ってくると、一方の眼でとらえている一台はまっすぐ自分に向かって走ってくるように見えますが、もう一方の眼で見ている自動車は横の方からこちらに向かってくるように見え、まさに目の前で衝突するかのような錯覚に陥ります。
説明困難ですが、眼球が45度、外に向いてしまうと、45度外側が視界になりますが、頭の中では、それがまっすぐ目の前にあるような映像になります。一方の目でとらえたまっすぐ目の前の像と、45度ずれた視界の映像が一つの視界を構成するのです。
口の筋肉に進んでくると、言葉を話すことが困難になり、1時間話すとしばらく休息しないともはや話すこともできないほど疲れてしまいます。
肺の筋肉に及ぶと呼吸困難に陥ります。

治らないが、症状は抑えられる

かつては発症して1年程度で死亡することが珍しくありませんでしたが、症状を抑える薬が開発され、現在では普通とまではいかなくても、普通に近い日常生活ができるようになりました。

自分自身を抗原とする抗体が原因

重症筋無力症の患者はアセチルコリン受容体と結びつく抗体を産生するのが特徴です。
アセチルコリンは神経伝達物質で、筋肉に接している神経細胞の先端から放出されます。
筋肉にはアセチルコリン受容体があって、神経細胞が放出したアセチルコリンと結びつくことによって収縮したり、力を伝達させることができます。
ところが重症筋無力症の患者の場合は、抗体がアセチルコリン受容体と先に結びついてしまうために、神経細胞が放出したアセチルコリンが筋肉の受容体と結びつくことができなくなってしまうのです。
筋肉自体は正常なのに、筋肉を動かすことができなくなってしまうことになります。健康で正常な筋肉なのに、神経からの信号に応答できないのです。
原因は分かっていませんが、重症筋無力症では、甲状腺が免疫系によって攻撃され、バセドウ氏病を併発するケースが多いことも知られています。
胸腺はT細胞を産生する臓器で、抗体を産生する臓器ではありませんが、構造的に胸腺に異常が認められるケースも多く、胸腺を摘出する手術が病気の進行を抑えたり、症状を軽減することも知られています。
この病気の場合も女性の発症率が男性の2倍と高い特徴があります。