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AIDS:感染から発症まで(2)

急性感染期

HIVに感染すると2W~4Wで最初の症状が現れます。
その初期症状は
1)インフルエンザのような発熱、のどの痛みなど
2)全身のリンパ節の膨張
3)全身の斑状発疹
4)無症候性感染
5)その他
これらの症状はどれもHIVに特有のものではなく、インフルエンザなどの症状と大差ありません。そのため、HIVに感染しても、それと気づかず、インフルエンザか風邪と思ってあまり注意を払うことはありません。初期症状だけからHIV感染を確実に知ることはできません。
HIVの特徴的な症状、独自の症状というものは何一つないのです。
そして悪いことに感染後5W~10Wで、最初の症状は治まってしまいます。
風邪が治ったと思うわけですが、実際には、長期無症候感染期に入っているのです。
AIDSは感染に気づきにくい病気なのです。

無症候期

感染後1か月程度で抗体が産生され始め、HIVウイルス量は激減します。
そのため、5W~10Wで初期の症状が消えてしまうのです。
しかし、これは治ったのではありません。いわゆる潜伏機関で、発症までHIVウイルスは体内で増殖し続けるのです。
HIVに対する抗体ができ始めると、抗体が優勢になり、初期の症状が治まります。
しかし、HIVは増殖を繰り返しており、完全に駆逐できるわけではないのです。
HIVと抗体のバランスが抗体優位になっているということです。
HIV感染は、産生された抗体の有無で判断されます。
感染後、1か月程度たたないと、正しい検査結果を得ることができないのは、このような理由なのです。
この抗体の産生を血清変換といい、体内にHIVウイルスが存在していることを示しています。HIVに対する抗体の存在こそがHIVの存在を示しているということです。
初期の急性期を過ぎると、症状は軽くなり、ほとんど無症状の期間が5年~10年続きます。
しかし、この期間を「何も起こっていない期間」、「HIVウイルスは眠った静かな状態」と考えるのは間違いです。
体内ではHIVウイルスが激しく増殖しているのです。
しかし、同時にCD4陽性T細胞も大量に作られ、HIVウイルスを破壊しています。
そのため、HIVウイルスの増殖と破壊がバランスしている状態ということがでいます。
激しい炎を上げて炉の中で火が燃えていることを想像してみてください。炉の中に抑え込まれているので、外に燃え広がって火事になることはありません。しかし、炉が破られたら、大変なことになります。もはや火を止めることはできません。
また、激しく回転するコマは一見すると静かにある一点に静止しているように見えますが、実は激しく回転しているのです。
ひとたび、バランスが崩れると、勢い余ってどこかに転がって行ってしまいます。
激しさの中で、しかも危ういバランスで保たれているのです。
いつか回転力が弱くなると、コマはよろよろとバランスを保とうとしますが、ついに倒れてしまいます。
同じことがHIV感染でも起こります。
感染から5年、10年経つうちに、HIVの増殖とCD4陽性T細胞の微妙なバランスが、崩れ始める時が来るのです。
しかも、HIVが優勢になってバランスが崩れるのです。

発症期

血液中のCD4陽性T細胞が減少していくと、免疫力が低下し、徐々に感染初期の急性期の症状が戻ってきます。
リンパ腺腫、発熱、全身ん痛み、疲労感、体重の減少、帯状疱疹、めまい、口内炎、脂漏性皮膚炎などの症状が現れるようになります。
この時期になって初めて医療機関を訪れ、HIV感染が判明するのがAIDSの特徴なのです。

AIDS発症

発症期を過ぎると、普通の人では見られない多くの日和見感染が現れます。
ニューモスチス肺炎、カポジ肉腫、悪性リンパ腫。皮膚がん、HIV脳症などです。
感染してから長期間経過し、次の23の疾患のどれかを発症すると、正式にAIDS発症となります。この23の疾患はAIDS指標疾患と呼ばれます。

  1. カンジタ症
  2. ニューモスチス肺炎
  3. クリプトコッカス症
  4. コクシジオイデス症
  5. ヒトプラズマ症
  6. クリプトスポリジウム症
  7. トキソプラズマ症
  8. イソスボラ症
  9. サルモネラ菌血症
  10. サイトメガロウイルス感染症
  11. 化膿性細菌感染症
  12. 帯状疱疹、単純ヘルペスなどヘルペスウイルス感染症
  13. 活動性結核
  14. 非定型抗酸菌症
  15. 反復性肺炎
  16. リンパ性間質性肺炎・肺リンパ過形成
  17. カポジ肉腫
  18. 原発性脳リンパ腫
  19. 非ホジキンリンパ腫
  20. 浸潤性子宮頸癌
  21. 進行性多巣性白質脳症
  22. HIV脳症
  23. HIV消耗性症候群